黒縁メガネの意外な使い方
突然だけど、私は「悪口」というものを警戒している。
警戒しているというのは、自分が悪口を言わないようにしていることもそうだけど、悪口が多い人には近づかないようにしているということだ。
もちろん、誰かの悪口に話を合わせたり、酷いことを言われたときに「今のはあんまりだったよね」と話したくなる気持ちはわかる。それは人情というものだ。
私が特に警戒するのは、そんなレベルの話ではない。なにかあるたびに批判的な意見をいう人。怒りに支配されているような人。要は、いつもいつも悪口を言っているような人達だ。
悪口で盛り上がると、その瞬間は「良い気持ち」になる。
みんなで盛り上がることによって、ドーパミンが放出されるためだ。
もちろん、ドーパミンのすべてが悪いわけではない。
ドーパミンは「報酬系」の脳内物質と言われており、モチベーションの源でもある。
1回戦を突破できたことを喜び、もっと勝てるように練習に励む。
ある資格を取得できたことを喜び、次はもっと上位の資格を目指す。
これらはドーパミンの正しい使い方である。
問題はドーパミンには依存性があり、依存症の原因にもなり得るということだ。
パチンコで大当たりしたときの興奮を追い求め、家庭や仕事をないがしろにし、借金地獄に陥ってしまう。
パチンコをしない人からすると、なんとも計画性のない話だと思ってしまうが、実は悪口を慢性的に言っている人も、同じ過ちに陥っている。
悪口で盛り上がることで、誰かを打ち倒したような、勝利したような気持ちになる。
結果、ドーパミンが放出され、その瞬間は快楽を感じることができる。
しかし、やがてドーパミンの効果は切れる。すると、脳は新しい「報酬」、つまり次の悪口を求めるようになる。そうして、「悪口依存症」になっていく。
女子会の悪口大会を考えてみるといい。彼女らは1時間悪口を言っても、2時間悪口を言っても決して満たされることはない。1日で満たされるわけもなく、集まるたびに誰かの悪口を言うことになる。
悪口は、あらゆるカフェ、あらゆる職場、あらゆる居酒屋で繰り広げられる、滾々として尽きることのない憎しみの泉なのである。
重度の悪口依存症になると、もはや悪口を言うために、嫌いな人を創りだしてしまう。
喜びを胸に怒ることができないように、怒りを抱きながら笑うことはできない。
怒りに支配された人生。喜びの乏しい人生。ドーパミンの奴隷。
悲劇にもならない、悲しい物語だ。
さて、ここからが本題。われらがヒーロー、黒縁メガネのお出ましである。
実は私の職場にも、悪口の好きな人がいる。
実は私だ…。というのはちょっとしたジョークだ。
私のとなりの席に、悪口の好きな女性がいて、よくむすっとした顔をしている。
私は、人の怒っている顔が苦手だ。下がった口角、吊り上がった眉。攻撃的な目。あるいは人の事を馬鹿にして笑う口元。
そういうものが視界に入ると、私は落ち着かない気持ちになったり、集中力をそがれたりすることがある。
そわそわした気持ちになったときは、呼吸に集中してマインドフルネスを実行するが、仕事中ずっと呼吸に集中しているわけにもいかない。
状況を劇的に改善してくれたのが、黒縁メガネだ。
黒縁メガネのよいところは、なんといってもその縁が太さだ。
メガネの側方の、耳にかけるパーツの部分を「テンプル」というらしい。黒縁メガネに変えて、テンプルが太くなったことによって、ちょうどとなりの女性の顔が隠れた。視界から怒った顔が消えたことで、私は集中力を取り戻した。
メガネのフレームを太くする。たったこれだけの工夫。
たったこれだけの工夫で、私は少し元気になれた。
もし同じような状況の人がいたら、縁の太いフレームで、お値打ちのものを探して試してみるのもいいかも知れない。
え、「もし嫌なやつが隣じゃなくって目の前にいたらどうするんだよ」って?
それはまた別の機会に考えよう。
私は、読者がずぼらな私のことを悪く言わないでいてくれることを信じている。
そうして、私は今日という一日に感謝し、命に感謝し、また明日が素敵な日であることを疑わずに眠ろうと思う。
また明日からも頑張れる。今日もよく頑張った。
ご清覧ありがとうございました。
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